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第16回春期チャンピオンシップショー2005       審査員 原田 知明
「総評」


雲ひとつない絶好の展覧会日和に恵まれて、終日和やかな雰囲気のうちに開催されましたことはなによりでした。出陳頭数は少なかったですが、前回(2年半前)に拝見した犬たちよりも、格段とレベルが向上していたことは、クラブ員の皆さん方が血液の更新を図り、次々と輸入されてこられた成果の現れでしょう。それともう一つはトリミングが上手になったことでしょう。各地でトリミングの講習会を開催されてきたクラブ役員の努力が実って、自分の犬は自分でトリミングをするという、この犬種の基本的理念とトリム技術を体得されたことは、このショーを見て大変心強く感じました。このつぎはスタンダードをより一層理解されて、ご自分の犬の長所を強調し短所を補うトリムを工夫されると、さらに向上することでしょう。

さて、今回の審査に当たりまして、所感を少し述べさせていただきます。第15回(前回)のショーではオーストラリアの著名なスペシャリストMr.Keith Lovellをジャッジに迎えて開催されましたので、私はオールラウンダーの目として次の点を主として拝見させていただきました。
1.  エアデールテリアとしてのムードをどれだけ表現しているか
2.  個体にはどれだけ長所を備えているか
3.  テリアキャラクターの具備
4.  確実で健全な歩様
5.  コンディションとハンドラーとの一体感

キング・オブ・テリアとして大型テリア種の威厳、直ちに行動できるようにつま先立った四肢の構え、理知的な目の表現、敏感な耳と尾の動きなど、一見してムードがただよっていなければなりません。これが外観上の大きな特徴なのです。
スペシャリストは個体を丹念に観察しその短所を子細に指摘し、欠点の少ない犬を良しとしますが、往々にして個体の長所や美点を当たり前のこととして見落とす傾向があります。オールラウンダーは全体の外貌特徴を掴んだのち、個々の長所や優れているところを拾い出し、これらの多い犬を上位に選びます。
どんなに体型が整っていてもテリア種独特のキャラクターの乏しい犬は、下位に評価しなければなりません。これは犬種の本質で、敏捷な動作に欠かすのことの出来ないものだからです。
正しい運歩は持久力を伴い、疲れを知らないようなスムーズな歩様を示し、尾をピンと揚げ後肢からの推進力は背を通して前肢へ確実に伝え、背上の上下、左右動の最も少ない健全な動きを示します。
以上のコンディションが揃っていても、残念ながら当日コンディションが不備で、元気なハンドラーとのコンビネイションが不具合であれば、ショードッグの条件にかないません。

ベストインショー/CH.スターガス アドーニス
2002年10月16日生
父 ENG. CH.スターガス ガリレオ
母 ENG. CH.スターガス アティーナ
野村行延(兵庫県)

野趣に富んだ力強い牡相の表現、各部の構成はきわめて均斉的で充実感あり、ハンドラーとの動きもスムーズで確実な歩様を示し、非の打ち所がなく、貫禄勝ちで栄冠を獲得した。

ベストビッチ/CH.ダイアモンド ウィロー オブ ウィルダネス
2001年8月16日生
父 ENG. CH. サレドン ファイヤーダンス 
母 CH. ジェイドルド ジプシー クイーン オブ ウィルダネス
杉本 武巳(東京都)

アドニスとは対照的に派手な牝犬で、牝らしい気品富んだ表現、バランスの良い四肢の構成、コンパクトにまとまった完成されたコビータイプで、熟練されたトリムによって、一層美しい動きを見せてくれた。

CCビッチ/サレドン スピリット ウィズイン
2003年10月1日生
父 Eng.CH.サレドン オープン ファイヤー
母 Eng.CH.サレドン ノーザン ライト
木本 万裕(愛知県)

本犬種のムードをよく表していた。とくに躯幹は充実、四肢のバランスもよく、頚から肩、胸、背にかけてのバックラインは見事。やや緊張感に欠け、動きに一層の活発さを求めたい。

CCドッグ/コンドル オブ ウィルダネス
1997年5月25日生
父 サレドン エル ガロ
母 バルセロナ ブルーム オブ ウィルダネス
瓜生 勝昭(愛知県)

体躯構成均斉的で申し分ないが、耳の動きに緊張感乏しく、表現を損なっていた。年齢のせいか歩様は今一息でした。